丹波篠山市 市野々『旧村山家』
旧村山家は市野々集落中心部、山裾の小高い位置に建っています。
建物は茅葺(鉄板葺き)平屋建ての主屋と瓦葺2階建ての土蔵で構成されています。
棟札等建築年代を特定する資料が残されていないので正確にはわかりませんが、主屋、土蔵共に明治初期頃建築で約130年前後は経っているものと思われます。柱等に残された痕跡から大正、昭和、平成と生活様式の変遷に合わせて各時代ごとに改修され、何世代にも渡り大切に住み継がれていたことが感じられます。
改修前、座敷以外の部分はボードや合板等の新建材で覆われていましたが、一枚一枚取り除いてあげると建物本来の姿が顕わになりました。玄関土間、台所から見上げると長年燻された黒々と風格ある太い丸太が美しく、天井の燻された竹スノコも何とも言えない艶が出ています。吹抜けから見える屋根のカヤは薪を使わなくなってから葺き替えられたようで、煤が付いておらずまるで新畳に入れ替えた時のように清々しいです。
2015年ごろから空き家となり2018年に丹波篠山市に寄付されました。空き家になっていた期間に建物の傷みが進み床は抜け落ちている状態でしが、2019年秋から2020年3月まで主屋の改修工事を行い往時の輝きを取り戻しました。
腐朽した柱や梁、壁を取替え補強し構造的にも元の状態以上に向上させ、また古民家の良さを残しつつ現代生活に合わせて水回りや設備の刷新、見えないところですが壁や天井、床に断熱材を入れ居住性も改善しました。
2020年11月ごろより土蔵と付属の物置小屋の改修、離れ等の解体撤去工事を行い2021年2月末ごろ全体の工事が終わる見込みです。
大芋地区と市野々
丹波篠山市の最東部に位置する「大芋(おくも)地区」。大阪北部と京都府綾部市を結ぶ国道173号線が南北に通過しており、県道本郷藤坂線(300号)と府県道篠山京丹波線(702号)が地域の生活道となっています。その大芋地区のほぼ中心に位置する市野々という小さな山間の村に、旧村山家はひっそりと佇んでいます。
『旧村山家』で始める土蔵のある暮らし
旧村山家には、母屋の隣に小さな土蔵があります。
土蔵は、テレワークやオフィスなどのワークスペースとして、アトリエや自分だけの趣味の空間など、あなたの好きなライフスタイルを実現することができます。
土蔵は現在リノベーション工事中で、ページ下部には実際の写真を交えた「蔵工事日誌」を掲載しておりますのでどうぞご覧ください。
大芋地区に暮らす人たち
大芋地区には、どんな方々が暮らしているのでしょうか?みなさんの想いを、ちょっと聞いてみました。
旧村山家 住宅概要
以前は個人住宅として利用。平成 30 年度に市に寄附、現在は空き家。寄附以前の建物の修 繕状況等については不明。令和元年度に主屋(居宅)を改修、令和2年度に土蔵および付属屋物置を修理。
上水は整備済、下水は個別浄化槽
プロパンガス(都市ガス区域外)、プロパンガスは別途契約
戸建住宅、空地等
宅地:517.99㎡(約156坪)
畑:214㎡(約64坪)
主屋 平屋建て(101.32㎡):玄関土間、トイレ、洗面・浴室、キッチン・ダイニング 11 帖、
リビング 7.5 帖、納戸、北 4.5 帖、南 4.5 帖、8 帖、縁側
土蔵 2階建て(31.04㎡):1階 土間(砕石敷き)、2階 板間
物置 平屋建て(8.92㎡):土間(砕石敷き)
旧村山家図面(クリックで拡大できます)
住宅前に駐車スペースあり
土砂災害警戒区域(兵庫県ハザードマップ)、一部災害危険区域(建築基準法)、災害危険区域(建築基準法)、土砂災害特別警戒区域(兵庫県ハザードマップ)に該当する区域が存在
売却価格
12,600,000円(税込/土地・建物あわせて)
宿泊体験プラン
購入希望の方は、実際に旧村山家で宿泊体験をすることが可能です。宿泊体験を希望する方は、下記の方法でお申し込みください。
①NPO法人町なみ屋なみ研究所へ希望する期間が空いているかお問い合わせください。1泊2日~1週間まで可能です。
②下のリンクより「使用許可申請書」および「損害賠償責任負担請書」をダウンロードし、丹波篠山市企画総務部創造都市課(〒669-2397兵庫県丹波篠山市北新町41 本庁舎3階)へ持参もしくは郵送ください。
使用許可申請書および損害賠償責任負担請書のダウンロードはこちら(ワード形式)
③後日、市より使用許可書を送付もしくはお渡しいたします。
●宿泊に際しての注意
・許可を受けた目的以外の使用をしないこと
・公益を害し、公の秩序を乱さないこと
・施設や設備を棄損するおそれのある行為をしないこと
・使用の権利を他に譲渡または、転貸しないこと
・使用期間満了時には、速やかに片付け・清掃をおこない、原状に復すること
また、発生したゴミは持ち帰ること
・なお、原状に復する費用は使用者でみること
・使用期間内にあっても市が行う事業等により必要があるときは、市の指示に従うこと
・退去日に管理スタッフ立ち会いのもと、各種確認・退去手続きします
・使用料金無料(光熱水費含む)
・施設内全面禁煙
・花火、焼肉、バーベキューは出来ません
・素泊まり(宿泊のみ 食事なし) 自炊・食材持ち込み可
・送迎は行っておりません
・チェックイン/アウト時間はご相談ください
・ペット同伴での宿泊体験はお断りしております
●設備等
・水洗トイレ、洗面
・浴室、シャワー、給湯設備
・ガスコンロ、上水道
・冷蔵庫、電子レンジ、調理器具等 (材料持ち込み自炊可能です)
・駐車場
・寝具一式 (連泊の場合原則リネンの交換はいたしません)
・歯ブラシ、シャンプー、タオル、寝間着等はご用意ください
・テレビ、WiFiはありません
購入希望の方へ
旧村山家は丹波篠山市の所有ですので、実際の売買手続きは丹波篠山市と行っていただきます。
まずはこちらからメールでご連絡ください。
または、NPO法人町なみ屋なみ研究所 担当窓口(山本)までお電話をお願いします。
令和3年3月31日まで随時募集
購入希望者の受付は終了いたしました。
内覧については、NPO法人町なみ屋なみ研究所が随時受け付けております。
内覧をご希望される方は、
・希望日程(本日から4日後以降の日付で、候補を3日程ほど)
・希望時間帯 午前(午前11時〜)または午後(午後1時〜)
上記の日程および時間帯を入力の上、こちらからメールでご連絡ください。
内覧の受付は終了いたしました。
購入には、その他条件が必要です。詳細については下記PDFファイルをご確認ください。


旧村山家 蔵工事日誌①
旧村山家 蔵工事日誌①
旧村山家には2階建ての土蔵とそれに付属する平屋建ての物置小屋があります。おそらく主屋と同時期の建物で約130年程度風雪に耐えています。柱、土台、1階内壁の壁板などはいまでは入手困難な栗材をふんだんに使っておりちゃんと修理すればまだまだ活躍することができます。
とてもいい建物ですが、東側に後年無理に増築された建物の影響で雨仕舞いが悪くなり外壁などがだいぶ傷んでしまいました。旧村山家を安心してご購入いただけるように主屋に続き土蔵と物置小屋も修理いたします。
もちろん販売価格は据え置きですっ!!
今回工事では傷んだ構造体の補強と外壁など外回りの修理を主に行います。購入された方がアトリエやリモートワークのオフィス、ギャラリー、ゲストルームなど自由に改修できるように内部は簡単な修理にとどめます。さてどう変身するでしょうか。
工事日誌を随時更新いたしましますのでご期待くださいっ!
旧村山家 蔵工事日誌②
旧村山家 蔵工事日誌②
土蔵修理工事が始まりましたっ!
北東隅の土壁がごっそり落ちています…。
2階部分の落ちそうな外壁も落していきます。
どう直していこうか…。土台が腐ったり、長い年月で地盤が沈下したりで傾いた建物をジャッキアップして補
正します。昔からある構法で曳家(ひきや)といいます。(※地方によっては移動する場合を曳家、その場所で揚げるだけの場合は揚家(あげや)ということもあります)
今回は建物全体を30cmジャッキアップして傷んだ土台を交換、新しくしっかりとしたコンクリートの基礎を設けます。建物を揚げるジャッキを受けるために太い構造材を井桁に組みます
こういう口径の太い材料はなかなかストックないので心配しましたが、幸いにも大工さんの伝手で製材所に眠っていた材料を調達することができました。沢山のジャッキが必要で大工さんの在庫で足らない分はレンタルなどします。
さてこの重たい土蔵が揚がるのでしょうか?!
旧村山家 蔵工事日誌③
旧村山家 蔵工事日誌③
土蔵のジャッキアップに合わせて付属の物置小屋も一緒に揚げていきます。
レーザーで高さを確認しながら複数のジャッキを同時に少しづつ上げていきます。
おっ!!
少しずつ揚がってきましたよっ!
揚がりだしたら早いもので夕方までにほぼほぼ設定高さまで揚がりました。
いや~よかった。無事揚がるかと心配していましたが、さすがベテラン大工さんっ!一安心です。
そして懸案の北東隅の外壁剥落部は思い切って1階から2階までガラス張りの窓にすることにしましたっ!
どうせぽっかり開いているいるんだから潔いでしょう。完成が楽しみです。
旧村山家 蔵工事日誌④
旧村山家 蔵工事日誌④
土蔵が宙に浮かんで不思議な感じです。
なかなか土台を下から見上げるなんて出来ません。
さすが7寸×5寸の太い栗の土台が使われているおかげで、100年以上も経っているのに7割近く再利用可能でした。
傷んでいる土台は新しい材で交換です。
さて次回からはいよいよ基礎工事に入ります。流石に宙に浮かせたまま年を越すわけにはいきませんっ!
旧村山家 蔵工事日誌⑤
旧村山家 蔵工事日誌⑤
建物の周囲をぐるりと新しくコンクリート基礎を設け建物の耐久性を高めます。
配筋、型枠を組みコンクリート打設に備えます。
待ちに待ったコン打ち開始ですっ!
ミキサー車の生コンをポンプ車で圧送します。ポンプ車のアームは結構長く伸びるので建物から比較的離れていても打設できるんです。
これで安心して年を越せますね。
旧村山家 蔵工事日誌⑥
旧村山家 蔵工事日誌⑥
おかげさまで何事もなく無事年を越すことが出来ました。
今日は型枠バラシです。うまく打てているかドキドキ。
綺麗に打設できたようです。
くたびれた感じだった建物がシャキッとなったように感じます。
土台を地面から離すことで腐朽や虫害を抑えることができ建物の寿命を延ばすことができます。
これでやっと外回りの工事に入ることができます。
ですがっ!!
今年はむちゃくちゃ寒いっ。
建物北側は先日降った雪がまだ残っていますし…
西側の側溝の水は流水の形状のまま凍ってしまっています。
写真で見ると勢いよく水が流れているように見えますが凍っています…。
無事左官工事できるのでしょうか…。
旧村山家 蔵工事日誌⑦
旧村山家 蔵工事日誌⑦
足場が架かり左官工事が始まりました。
寒い時期で多少不安ですが工期が決まっているので仕方ありません…。
土蔵北東の1階から2階までの縦長の窓もだいぶ出来てきたようです。
どんな窓になるか足場が取れるのが楽しみですね。
傷んだ漆喰を剥がしたりひび割れた部分や欠損した部分を左官で補修復元していきます。
軒裏もだいぶ剥がれていたで下地から修理しています。
腰の部分は焼き杉板という杉板の表面を焼いた昔ながらの材料を張っていきます。表面が炭化することで耐候性がアップする日本の伝統的構法です。雨がかりで土壁を保護する役割があります。
焼杉板張りは煤で鼻の中や服の中まで真っ黒になってしまうので大工さんに嫌われる仕事です。最近では炭化した部分をブラシで取ったものや表面を塗装コーティングしたものが流通していますが、やはり昔ながらのモコモコ炭化した表面のものが耐候性もよく見た目も私は好きです。
漆喰の白と焼杉板の黒のコントラストが綺麗に出るのが楽しみです。
旧村山家 蔵工事日誌⑧
旧村山家 蔵工事日誌⑧
幸い心配した寒さもそれほど続かず比較的暖かい日もあったおかげで左官工事も順調に進みました。荒壁の調整から中塗り、そして漆喰仕上げ塗りとベテラン左官さんの見事なコテ捌きで見る見る塗られていきます。
軒裏も壁も真新しい漆喰が清々しいです。軒裏の垂木のナミナミした塗りのことをこの地方ではヌタグリといいます。なんとも言えない滑らかな曲線が優しいです。
東側の窓に以前からあった庇を修理して元の位置に取り付けます。
グッとかっこよくなりますね。
左官工事だけでなく大工工事や建具工事などもどんどん最終段階に入ってきています。土蔵の入口には外側から土戸、格子戸、板戸と3枚入っています。一番外側の土戸は防火のため外側に土を塗っているためとても重いです。普通の戸車では壊れてしまうのでコロみたいなもので戸を転がせるようになっています。
その名もソロバンっ! 算術に使う算盤が語源でしょうか、先人の知恵ですね。
旧村山家 蔵工事日誌⑨
旧村山家 蔵工事日誌⑨
年初は十数年以来の大寒波で一時はどうなるものかと心配しましたが、雪もほとんどなく、お陰様で無事工事完了いたしました。
工事前はかなり傷んだ状態でしたが、見違えるようによみがえりました。今後、土蔵としての用途だけでなく幅広くいろいろな用途に活用されればいいなと思います。新しい住人に是非楽しんで生活の中で使っていただければと願います。
蔵工事Befor&After





本募集は、丹波篠山市から「丹波篠山市旧村山家利活用推進事業」の事業委託を受けたNPO法人町なみ屋なみ研究所が実施しています。